「トミーの絵で見る映画館」ブログへようこそ

 「トミーの絵で見る映画館」ブログへようこそお越しくださいました。このブログはわたくし”トミー・ザ・エクストラ”が趣味でつづる映画レビューとイラストのページです。世の中に見るべき映画、おすすめしたい映画、文句を言いたい映画等など沢山ありますが、その中で私が「イラストで描いてみたい!」と思う映画だけを選びブログにしました。

 その為エントリーには偏りがあり、大昔の映画もあれば今は入手困難な映画もあります。ただ単にイラストにしてみたいという欲求の元取り上げております為こんなラインアップになってしまいました。

イラストは仕事が終わった夜、毎回15分~30分程i pad のProcreateアプリでチマチマと描いておりまして1枚仕上げるのに約1か月程かかります。その為ブログ更新がスローですがぼちぼちお付き合い頂ければうれしいです。

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ヴァンパイア/最期の聖戦

1998年 監督:ジョン・カーペンター

原題:Vampires

 一言でいうと最高の映画

 まず、テーマ曲をカーペンター監督本人が作曲しているところから監督の思い入れが伝わってくる。監督が作曲したシンプルでだが心躍らせるテーマ曲が流れる冒頭のシーンにこの映画の魅力のすべてが詰まっている。

 無言のうち映し出されるこわもての男たち。ごついワイヤーレンチがついたジープに次々に登場する物々しい武器。そして最後に神妙に現れる場違いな神父。これらがアクション映画にありがちな暗がりではなくピーカンの青空の下淡々と映し出されるアンバランス感。

 さらにこの映画のヒーロー達の登場だ。ハリウッド界でも異例な存在感を放つ我らがヒーロー:ジェームズ・ウッズと“太ってる方のボールドウィン”(アレックの弟である)ダニエル・ボールドウィンが実に頼もしくて絶対に負ける気がしない。だからこの冒頭シーンだけでも怖さの中でついついワクワクさせられてしまうのだ。

 彼らはヴァンパイア・スレイヤーであり、これからヴァンパイア達の巣である荒野の一軒家を襲撃するのだが、目も覚めるような晴天と打って変わって締め切られた一軒家の暗い静けさの対比がこれからの惨殺を予感させ嫌がおうにも恐怖心をかきたてる。

 ドアを開ける為に開けた穴に手を入れる様子を映し出すカメラワークも繊細だ。ドアの向こうにはどんなヴァンパイアがいて、いつ差し入れた手を食いちぎられかも分からない、その緊張感が自分がその場にいるように伝わってくる。短くシンプルだが沈黙の中に丁寧で良いシーンだ。

 中に無事に入るものの、さて、彼らは地下室にいるのか、廊下を下った部屋にいるのか、いちいちヴァンパイアの不在と静けさが怖い。怖さに耐えられないのでさっさと出てきて欲しい。しかしチームのリーダーは我らがジミー・ウッズである。外には太った方のボールドウィンだっている。頼もしい限りだ。大丈夫。

 こう言い聞かせて手に汗を握る。

 なかなか死なず、どす黒い血を吐いて抵抗するヴァンパイアをそれを上回る悪態で攻撃するジミー。最初のヴァンパイアが女性だったのでジミーの反撃には度肝を抜かれた。長い闘いの後、ジミーが冒頭シーンからこれ見よがしに抱えていたボウガンで一撃。そのとたん外で待機していたボールドウィンがジープのレンチを勢いよく回し、矢に貫かれたヴァンパイアを外へ引きずり出すのだ。ここで初めて「この為にボールドウィン家屋内には浸入しなかったのか」と合点がいく。レンチで外に引きずりだされたヴァンパイアは日光にあたり勢いよく発火。そして爆発。

 相手がヴァンパイアとはいえなんとも乱暴な殺し方だ。しかし野蛮なヴァンパイア殺しが淡々と日の下で行われているのを見続けているとこの野蛮なヒロイックさにゾクゾクさせられてしまうのだ。ここら辺で観客は悟るだろう。こんな映画は他にない!

6年ぶりのシェリル・リー

 この映画のヒロインというか犠牲者というか紅一点カトリーナ役が「ツインピークス」のシェリル・リーというセンスの良さに登場シーンで思わず「おお~!」と声が出てしまった。

 この男性キャスト面々に太刀打ちできるのは彼女しかいないし、この汚れ役を演じられるのも彼女しかいないだろう。「ローラ・パーマー最後の7日間」で気づいた方も沢山いると思うが、彼女はまずヴァンパイア顔なのである。完璧な配役としかいいようがないし、カーペンター監督が彼女をちゃんと覚えていてくれた事に驚いた。というのも、シェリル・リーといえば日本のファンには1990年の「ツインピークス」TVシリーズ以降は91年の「ワイルドアットハート」(カメオ出演)と92年の「ローラ・パーマー最後の7日間」くらいでしか拝む事ができず、なんとこの作品が6年ぶりの銀幕復活だったからだ。

 インターネットがそれほど普及していなかった公開当時、ポスターに出てこない限り映画内の主人公以外の配役は本編を見るまで分からない時代だった為、シェリル・リーのいきなりの登場に心の中で歓喜の叫び声をあげた映画ファンは多かったはずだ。

 しかし喜びもつかの間、ヴァンパイアに変異していくシェリル・リーが芸達者すぎて見ていてどんどん苦しくなってきてしまう。上手すぎるのも困りものです。

 ヴァンパイアにチームを襲われ、車も大破し、ジミーとボールドウィン、そしてシェリルが蜃気楼のちらつく寂れたハイウェイを歩く。カーペンター監督のセンスが光る選曲も伴って、こういった何気ない一シーンが永遠に心の中に「カッコよさ」として残こる映画である。

 さて、当時見てもジミーのタフさには戸惑ったものだが、現在2021年に改めて見てみるとフェミニストまたは各方面平和主義者からボイコットが起こりそうなバッドアスぶりである。しかし、ジミーと太ったボールドウィンは意味もなく悪態をついているのではない。物語が進むにつれ彼らの過去、彼らの変化、彼らの心が見えてくる。実に味わい深いタフさなのである。

 暗転の代わりに画面が真っ赤に染まるショッキングな場面展開にめまいを感じつつ、この映画、どうやって収拾させるのか終始不安になる展開で、映画が終わった時はその意味深ラストシーンのインパクトもあって自分は映画から命からがら「生還」した、と感じた。そんな体験的映画だった。

 ところで、カーペンター監督はジェームズ・ウッズに好きなように即興で演技させるジミー・バージョンも撮影したという逸話がある。思うに脚本通りの本バージョンといくつかのジミーバージョンを掛け合わせて完成版としたと考えられるが、どこか脚本か、どこかジミーオリジナルか、見るたびにどちらだろうと考えてしまう。

 月日が経ってもカーペンター監督とその仲間たちのヒロイズムはいつまでも色あせる事はない。

星の王子ニューヨークへ行く

Coming to America 1988

 「ブルースブラザーズ」で知られるジョン・ランディス監督作品。エディ・マーフィー主演のコメディー映画で特殊メイクは天下のリック・ベイカーで話題になった作品。80年代の映画が一番元気だった頃の輝きが感じられる幸せな一本だ。

 ストーリーを見ると家族皆で楽しめる映画風だが、実は少し大人向き。エディ・マーフィー演じる王子の入浴シーンしかり、婚姻の宴のシーンしかり、完全に全裸の「入浴係(女性)」達や、全裸に近いダンサーが王座の間になだれ込み、ものすごいポーズで踊り狂うシーンに冒頭から目のやり場に困る事になるだろう。

 しかしながら、さすがはジョン・ランディス監督の映画である。全裸の入浴係シーンのシュールなセンス、ほぼ全裸ダンサー達のセクシー過ぎるダンスが突き抜けているが故にだんだんと人間賛歌、ひいては大地の賛歌に見えて感動さえしてくるカタルシス体験は他の監督では決して味わえない。

 大筋は「身分を隠してアメリカで運命の人を探す王子アキームが巻き起こす下々の者には理解できない勘違い喜劇」であり、分かりやすく王道をいくコメディだがメインストーリー以外のNY市民の小ネタにも(異常に)力が入っている。

 E・マーフィー本人や御付きのセミ役アーセニオ・ホールが特殊メイクで演じる2人8役のキャラ達だが、神様にかこつけてセクハラ発言を繰り返す神父(A・ホール)や、全然受けないのに多分エディー本人がすごく気に入っていて無駄に世界観が作りこまれてるラウンジ歌手「ランディ・ワトソンとセクシャルチョコレート」、人生床屋から一歩も動かない常連おやじ達、個性豊かすぎるNYの女性陣、そして同じバーガー店に何度も強盗にくるサミュエルジャクソンなどなど、悪意ギリギリの愛情を持って描かれる登場人物たちからは作り手の熱意が自然と伝わってくるようだ。

 リサの物語

 最近公開された25年ぶりの続編「星の王子NYへ行く2」を見て本作を見返した方も多いと思うが、パート2を見てから本作を見ると全く別の映画に見えてくる。初見ではアキームのお相手となるリサトは「身分を隠した王子に見染められて玉の輿に乗るシンデレラガール」だった。

 しかし25年後の彼らを見ると、やはり2020年代になっても苦労するのは女性である。豪華な暮らしとはいえ籠の鳥である王妃となるべく自由を投げうったリサの苦悩と決意の物語として見ると単なる夢物語コメディではなく、彼女の愛の尊さが初めて見えてくる。さすがは英知を授けられた王子の目に狂いはない素晴らしい女性だった、という事だろうか。

特殊メイク:リック・ベイカー

 しかし、公開当時話題になったのは何といっても「特殊メイクの天才R・ベイカー」によって造形されたキャラクター達だった。「当時」だけでなく、今の時代に見ても彼の造形は自然で特殊メイクの存在を感じさせない。R・ベイカーは1996年公開のE・マーフィーの映画「ナッティ・プロフェッサー」でもエディのファットスーツをはじめエディの7役分の特殊メイクを担当し、さらにパワーアップしたEマーフィーを作り出したのである。

●R・ベイカー自身のHP(インスタグラム)  https://www.instagram.com/therickbaker/

●ハリウッドの特殊メイクスクールGnomon のワークショップサイトにて約1時間半のリック・ベイカーによるZブラシ動画が無料で公開されている。造形に興味がある方はぜひ天才のワークショップを見て欲しい。

Gnomon ワークショップR・ベイカーページ:https://www.thegnomonworkshop.com/tutorials/the-biker

●今年2021年6月には彼の作品全集「メタモルフォシス」が発売される予定。価格は四万円強だが、グレムリン、スリラーからカルト映画ビデオドロームまで彼の作品が一同に集まった決定版になるもよう。ぜひ一度手に取ってみたい本だ。

リック・ベイカー(左)とE・マーフィー、ジョン・ランディス監督

 

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